薬局M&Aにかかる税金の基本|株式譲渡と事業譲渡で税負担はどう変わる?

薬局M&Aにかかる税金は讓渡方法で大きく変わる

薬局のM&Aを検討する際、譲渡価格や条件面と同じくらい重要なのが「税金」です。同じ薬局を譲渡する場合でも、株式譲渡か事業譲渡か、個人事業か法人かによって、税金の種類も税負担の大きさも変わってきます。契約直前になって想定外の税負担に気づくケースを避けるためにも、早い段階で大まかな仕組みを理解しておくことが大切です。

株式譲渡の場合:個人株主は分離課税で一律20.315%

薬局を株式会社などの法人で運営している場合、M&Aの多くは株式譲渡というスキームで行われます。個人の株主が株式を譲渡して得た利益(譲渡価格から取得費・譲渡費用を差し引いた譲渡益)には、他の所得と分離して税額を計算する「分離課税」が適用されます。税率は譲渡益の大きさにかかわらず一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。給与所得など他の所得と合算されないため、税額の見通しを立てやすいのが特徴です。

事業譲渡の場合:資産の種類ごとに課税方法が異なる

個人事業として薬局を営んでいる場合や、法人であっても店舗・事業だけを切り出して譲渡する「事業譲渡」を選ぶ場合は、株式譲渡とは異なる考え方が必要です。事業譲渡では、譲渡する資産の種類ごとに課税方法が分かれます。

  • 不動産(土地・建物):他の所得と分離して計算する分離課税です。所有期間が長期か短期かによって税率が異なります。
  • のれん(営業権)や医薬品・医療機器などの資産:他の所得と合算して計算する総合課税の対象となり、譲渡益の額によっては税率が高くなる可能性があります。
  • 個人事業主の場合、譲渡益から一定の特別控除が適用されるケースもあります。

このように事業譲渡は資産ごとに評価・区分をする手間がかかる一方、株式譲渡では会社そのものが譲渡対象となるため、個々の資産を仕分けする必要がない、という違いがあります。

法人か個人事業かで、選べるスキームも変わる

薬局の経営形態が株式会社・有限会社などの法人であれば、株式譲渡という選択肢を取りやすくなります。一方、個人事業として薬局を営んでいる場合は、事業譲渡(資産・許可・従業員などを個別に引き継ぐ方法)が基本の選択肢になります。保険薬局としての指定や開設許可なども、譲渡のスキームによって再取得が必要になる場合があるため、経営形態と譲渡方法をあわせて検討する必要があります。

税務判断は早めに専門家へ相談を

税金の仕組みは複雑で、個々の状況(保有期間、資産の内容、譲渡価格の内訳など)によって最終的な税負担は変わります。M&Aの交渉が進んでから税務上の問題に気づくと、譲渡条件の見直しが必要になることもあります。譲渡を検討し始めた段階で、税理士など専門家に相談しながら、譲渡スキームを検討することをおすすめします。

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